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最近の兄貴(最終回)
「兄貴のあり方」

 大学の講義でこんな話を聞いたことがある。
「企業が変革を迫られた時、何を変えるかをまず考えるが、一番考慮しなければならないのは、何を変えてはならないのか、なんだよ。」
これは、なにも企業に限って言えることではなく、個人に対しても言えることだと思う。

4月になり、大学を卒業し、生活環境が大きく変わるが、自分は何を変えるべきではないのかを、今、考えてみたりしている。

そう、変わるものもあれば、変わらないものもあるのだ。


研究にうち込む兄貴(2005年4月東大研究室)

こんにちは、レンタローです。

 一年間、気分次第で連載してきたが今回が最終回となる。そんな最終回に相応しいテーマを用意した。「兄貴の在り方」である。これを以って兄貴シリーズを完結させたいと思う。

 「何をしている時が楽しいか、またどんな時に嫌な気分になりますか?」という、質問から兄貴の在り方が浮かび上がる。「んー、阪神が勝った時で・・・」と予想通り阪神ネタから、口火を切る。ここは、インタビュアーとして堪えどころである。(失礼)恒例の阪神トークが一通り終わったところで、マニュアル通りに冷静沈着、かつ無駄なく事を進める精鋭な兵士のごとく、「他にはありませんか?」とすばやく、再度、質問を振る。「んー、ひとつは原稿が書きあがった時、もうひとつは授業、またはゼミで仕事が終わった時だね。」と、兄貴は言う。兄貴は忙しい、というイメージが以前から俺にはあった。スケジュール帖を見ながら眉間に皺を寄せ、僅かな時間でも無駄にしたくない、というような雰囲気を醸し出している兄貴。一体、何がそんなに忙しいのかと、内心思っていた。そこで、「原稿を書く量はやっぱり多いのですか?」と聞くと、「業界の中ではかなり多く書いているほうだと思う。」と言う。その理由は、研究者だからだ、と兄貴は語る。「講義を引き受けたからといって、原稿を疎かにすることはできない。むしろ、講義を引き受ければ引き受けるほど、原稿は書かなくてはいけなくなるよ。」と言う。それを聞き、兄貴はやっぱりマゾだ、と思った。講義の依頼などがきた時、断れなく引き受けてしまうと言っていたが、俺の目からは忙しいのにわざわざ引き受け、原稿の書く量を意図的に増やして、しかも、それを楽しんでいるかのように見えたからである。以前、ゼミ合宿に3日間寝ないで来た兄貴は「もう倒れて入院したい。そうすればゆっくり休める(笑)」と、言っていたことがあった。その時、自分を追い込み、倒れてしまうことに喜びを感じているように見え、マゾなのではないか、と思っていたが、今回のインタビューで確信を得たのだ。まあ、本人の体質は置いておいて、凄まじいバイタリティーである。一体、モチベーションはどこから出てくるのだろう。やはり、何らかの目的があるのだろうと思った。そこでこの質問、「兄貴の夢は何ですか?」である。

 「挫折から出発しているせいからか、ここで一番になろう、みたいなビジョンは特にないよ。」という返答だった。「そうなんですか。」と相槌はしたものの、何か釈然としない。ビジョンまたは目的意識があるから人は頑張れるものだと思っていたので、この返答を聞き、どうにも納得ができなかった。そこで、「でも、ほんとは何かビジョンみたいなものがあるんですか?」と、半ば強引に兄貴の本音を聞き出そうと試みた。「んー、そうだね。とにかく今は、何か目先に与えられた仕事、遊びでも何でもいいんだけど、なるべく一つでも多くやり、それをきちんとこなしていきたい。」と兄貴は言った。これを聞き、ゼミのホームページに書いてある運営モットーに「よく学び、よく遊ぶ」と書いてあったのを思い出した。「なるほど!」心の中で歓喜の雄叫びをあげる。難解な数学の問題が解けた時のような感覚である。そう、兄貴は自ら率先してこのモットーを実行していたのである。それが既に、研究者であり教育者である兄貴の目的の一つとなっていたのだ。たぶん、そうだ。きっと、そうだ。さらに兄貴はこんなことを言った。「ビジョンって訳じゃないんだけど・・・、ちょっと後ろ向きかもしれないけど、どこかで不当に威張っている奴がいたら、そいつと闘うようにする傾向があるかな。人間には、人それぞれ価値観みたいなものがあるから、それを否定するような奴とは闘いたいね。」それを聞き、感銘を受けた俺は「かっこいいですね。闘いに行く時は是非、俺も呼んで下さい。」と言うと、「ははは。」と兄貴は苦笑したのであった。

 2年間という短い期間ではあるが、兄貴のゼミに参加し、多くのゼミ生は刺激を受け、なんらかの成長を遂げたのではないか。兄貴は「革命家を目指し、失敗した。」と言っていたが、受講生に小さな変化を与え続けている。きっと、この2年間で俺も少しは変わったと思う。そんな、兄貴は今でも革命家なのではないだろうか。冒頭で、自分は何を変えるべきではないかを考えている、と書いた。そして、今、その答えがわかった。「よく学び、よく遊べ」である。口で言うほど簡単なことでないだろう。しかし、きっとできるだろう。この2年間、大いに学び、大いに遊んだのだ。これからも、そうするだけだ。そう、変わるものもあれば、変わらないものもあるのだ。

PS; 兄貴、2年間ありがとうございました。
〜LONG LIVE KIKKAWA SEMINAR!!!〜

(15期生 レンタロー)
連載の更新が遅れたことをお詫びいたします。。。  


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